■アッラー様がみてる
記載者:マジシャンズネコミミ
2004年11月28日/SPLASH
天候:晴れ
最高気温:17.9℃/最低気温:9.6℃
湿度:39%
「アッラー・アクバル」
「アッラー・アクバル」
さわやかなイスラムの挨拶が、済みきった青空にこだまする。
アッラーのお庭に集う聖戦士たちが、
今日も天使のような無垢な笑顔で、背の高い門をくぐりぬけていく。
汚れない心身を包むのは、深い色の戦闘服。
ベレーの角度は乱さないように、ライフルのスリングは翻さないように、
ゆっくりと歩くのがここでのたしなみ。
もちろん、敵を目前にして逃げ出すといった、
はしたない兵士など存在していようはずもない。
イラク共和国。
1932年にイギリスから独立したこの国は、バース党の支配する、
伝統あるイスラム教国家である。
中東沿岸。砂漠地帯の面影を未だに残している油田の多いこの地区で、
アッラーに見守られ、クルド人からシーア派までの迫害教育が受けられるスンニ派の園。
時代は移り変わり、西暦が634から1371回も改まった21世紀の今日でさえ、十八年通い続ければ
イスラム神学校育ちの純粋培養テロリストが箱入りで出荷される、
という仕組みが未だ残っている貴重な国家である。
―――サダム・フセインも、そんな平凡なスンニ派の一人だった。